遊びと身体感覚
まいど
トレーナーの山崎です
ダッシュやストップ、切り返しを多く行うアスリートにとって、
効率的な動きの質を上げることは、その競技能力に直結してきます。
かといって、今現在行っている動きを、力強く、素早く行えば競技能力が上がるかと言われれば、必ずしもイコールではありません。
スポーツでは、よく日本と海外ではと比較されますが、
そこで耳にするのは日本人のフィジカルが低いといった問題です。
何を持ってフィジカルとするかは、おいておきますが
運動能力が海外の選手に比べると劣ってしまうという意味であると
筋力やスピード以前の前に、
動きの質そのものが良くないのではないかと最近は思います。
よく動きの質を上げるために、アジリティートレーニングなどを行っているチームもあるかと思いますが、
動きの質はそれでは解決しないと思います。
なぜなら、染み付いた癖を強調しているに過ぎないからです。
なので、動きの質を改善するためには、アジリティー以前に介入すべきことがあります。
本来では、動きの質は本能的に獲得すべきものではないでしょうか。
子供の遊びの中で目的を達成するべく、自分の体の運用を考える。
自分の過去を振り返ってみると、
公園で、大きな木に友達と登ってみる。
公園の公衆トイレの屋根に登ってみる。
歩行者と道路を分けるガードレールの細いところを渡ってみる。
など、大人になってからはあまり許される行為ではないですが、
子供の頃は秘密基地などと言って、
一つ上の学年の人たちがやっているのを真似して登って遊んだりしたものです。
もちろん落ちたりして痛い目をみたこともあります。
しかし、早く登ったり、降りたり自分の身体能力に挑戦するというのは、
子供ながらに試行錯誤しながら繰り返し行われてきたのではないでしょうか。
子供の喧嘩もどうでしょう。
全てを肯定するわけではないですが、
取っ組み合いの喧嘩は相手より優位なポジションをとったりこけないようにだったり、
体をいかに効率よく動かすかということを考えているのではないでしょうか。
現在の社会では問題になってしまうので、格闘技や武道などを習うといいのかもしれませんが、型にはめて教えられてしまうと、身体感覚は育つでしょうか。
もちろん格闘技や武道は素晴らしいのですが、教えられて上手くなるのには限界があると思います。
なので、効率的な動きの質を上げるためには、
優れた身体感覚が必要であり、この身体感覚は遊びの中で培われて行くものなので教えられるものではないでしょう。必要なのは指導者ではなく環境ではないでしょうか。
この身体感覚が高ければ、指導者からの学びは加速して行くでしょう。
指導者としてはこの辺りも踏まえて指導を心がけないと、
型の押し付けにってしまうのではないでしょうか。